■ はじめに
かつて地方創生の旗印は「移住・定住」でした。
しかし、現実には仕事・家族・ライフスタイルなど様々な要因で地方への移住にはハードルがありました。
そこで登場したのが「関係人口」という概念です。これは**“地域と継続的に関わる人々”**を意味し、移住者でも観光客でもない“第三の住民”として注目を集めてきました。
では、この関係人口、実際に地域にどのような価値をもたらしているのでしょうか?
■ 観光以上、移住未満の「ちょうどいい関係性」
◯ 関係人口とは誰のこと?
・地域の課題解決プロジェクトに定期的に関わる都市部のビジネスパーソン
・移住はしないが毎年地域イベントに参加する大学生
・地元出身で今は都市部に住みつつ、ふるさと納税やSNSで地元を応援している人
このように、関わり方に多様性があるのが関係人口の最大の魅力です。
■ 地域にもたらす価値
① 外の視点での課題提起
地元だけでは気づきにくい課題や資源を、関係人口の多様な視点が発掘・可視化してくれる。
② 新たな資金やアイデアの流入
クラウドファンディング、プロボノ活動、副業型の参画など、移住以上に地域にリソースをもたらすことも。
③ 住民と一緒に「地域を語る相手」になる
「地元だけで地域づくりを担うのは限界」という課題に対して、関係人口が**“対話の相手”や“応援者”**となり、心理的な支えにもなっています。
■ 課題は“受け入れ側の準備”
◯ 関係人口は「育てる」もの
イベントの参加者を一過性で終わらせず、「また来たい」「関わり続けたい」と思わせる体験設計が不可欠。
そのためには、地域側が「どう関わってもらいたいのか」「何を一緒にしたいのか」という明確な関係設計が必要です。
◯ 地域内での温度差
一部の住民や組織は歓迎する一方、「外から来た人に何がわかるのか」という声があるのも事実。
関係人口を“使う人”ではなく、“仲間として迎える文化”の醸成が大切です。
■ おわりに
関係人口は、地域にとっての“第二の住民”とも言える存在です。
彼らは定住はしなくとも、地域のことを思い、関わり、支え続ける「縁の力」です。
みらい株式会社では、こうした関係人口と地域の橋渡し役として、「関わり続けられる仕組みづくり」を支援しています。
“住む”だけが地域との関係ではない。
これからの地方創生は、「どうつながるか」が問われる時代です。