コラム・レポート

コラム
2025-09-04

行政×民間の協働が生むイノベーション 〜“縦割り”を越えた共創の時代へ〜

■ はじめに

近年、「行政だけでは解決できない地域課題」が増加しています。
人口減少、財源の制約、複雑化する住民ニーズ──これらに対応するには、行政と民間企業、NPO、地域住民などが連携し、“共創”によってイノベーションを生み出す仕組みが求められています。
本稿では、「官民協働」がなぜ注目されているのか、その意義と成功のための条件を考えます。


■ なぜ今「官民協働」なのか?

◯ 課題が複雑化・横断化している
たとえば、空き家対策ひとつ取っても、建築・福祉・観光・地域経済など複数分野にまたがります。
行政の縦割り体制では対処しきれない場面が増え、“連携による課題解決”が不可欠となっています。

◯ 行政単独ではリソースが足りない
財政・人材・ノウハウの面で限界がある中、民間の技術や発想力、実行力を取り込むことが現実的な選択肢となっています。


■ 官民協働が生んだ実例(抜粋)

地域交通の維持(MaaS):自治体×IT企業が連携し、オンデマンドバスや住民向けアプリの開発で移動手段を確保

子育て支援アプリの導入:スタートアップと連携し、自治体からの情報配信・予防接種管理・相談機能を一元化

地域プロモーションの強化:デザイン会社・地元NPOと協働し、地域ブランディングやSNS発信力を向上

これらはすべて、「行政が“丸投げ”せず、民間が“受託”にとどまらず」、共に目標を描き、手を動かした結果です。


■ 成功のためのポイント

① 目的の共有(Why)
単なる業務委託ではなく、「この地域で何を実現したいのか」という共通のビジョンづくりが出発点です。

② 対等な関係性の構築
官と民が「上下関係」ではなく、パートナーとして協働する意識が不可欠。特に行政側が、民間の自由な発想を受け入れる“柔軟さ”を持てるかが成否を分けます。

③ 住民を巻き込む設計
“行政×民間”の二者間で完結させず、地域住民や関係団体を巻き込んだ三者連携に広げることで、共感と持続性が生まれます。


■ おわりに

官民協働は、単なる“役割分担”ではなく、未来をともに描く共創のプロセスです。
それは「行政改革」でも「民間活用」でもなく、「地域をより良くする」という一点に向けた集合知の挑戦とも言えます。

みらい株式会社は、地域の現場に入り込み、対話を通じて行政と民間の橋渡し役を担ってきました。
地域の未来を「ともに創る」プロジェクト、次はあなたのまちで始めてみませんか?

【投稿者】

妹尾 暁​

妹尾 暁​

みらい株式会社 代表取締役

一般社団法人Smart Citizen Hub代表理事, 熊本県チーフ・デジタル・オフィサー(CDO), 天草市DX推進アドバイザー, 熊本保健科学大学経営アドバイザー

専門分野は、DX(デジタルトランスフォーメーション)、BPR(業務改革)、AI・IoT、経営戦略、事業企画、新規事業開発、教育・人材育成、プロジェクトマネジメント、マーケティング、組織設計など多岐にわたる。 最近の趣味は、メダカの飼育と旧車いじり。