コラム・レポート

コラム
2025-10-02

日本そして地方で止まらない人口減少は“危機”か、それとも“進化のチャンス”か?

■ はじめに
日本は2023年に総人口が1億2,435万2千人(前年比-59万5千人、-0.48%)となり、過去最大の減少幅を記録しました【総務省・人口推計2023年10月1日現在】。
「人口減少=危機」という認識が社会全体に広がっていますが、果たしてそれだけでしょうか。
人口減少は厳しい現実であると同時に、「社会のあり方を問い直すチャンス」でもあります。

■ なぜ人口減少が“危機”とされるのか
• 労働力人口の減少 → 地域産業の担い手不足
• 税収減少 → 公共サービスの維持困難
• 過疎化 → 公共交通・医療・教育など生活インフラの限界
特に地方部では「消滅可能性自治体(2040年までに若年女性人口が半減する自治体)」が896団体にのぼるとされた『増田レポート(2014年)』の衝撃が、今なお議論の前提となっています。

■ しかし、見方を変えれば“進化のチャンス”
1. 生産性向上の必然性
 人が減るからこそ、デジタル化・業務改革が進みます。
 → 実際、2020年代以降のリモートワーク普及率は過去最高を更新【総務省通信利用動向調査2022】。
2. 暮らしの質を再設計できる
 「経済成長」から「幸福度・ウェルビーイング」へ。国も2022年に「幸福度指標検討会」を設置し、政策に反映し始めています。
3. 都市集中から地域分散へ
 テレワーク・二拠点居住などの新しいライフスタイルが広がり、ふるさと回帰支援センターへの移住相談件数は2023年に約6万件と過去最高を更新しました。

■ 実際に動き始めている“チャンス”の事例
• 地域の新ビジネス
 高齢化を逆手に、「シニア人材バンク」「福祉×観光事業」など新産業が登場。
• 関係人口の広がり
 「移住しないが地域に関わる」副業人材・短期滞在プログラムが拡大。総務省「地域おこし協力隊」も2023年度には6,000人超に達し過去最大。

■ おわりに
人口減少は“止められない”未来ですが、“受け止め方”次第で可能性を持ちます。
みらい株式会社では、人口減少を「危機」とだけ見るのではなく、「地域を進化させる起点」と捉え、DX・人材支援・教育・関係人口づくりを通じて地方創生に伴走しています。
危機か、チャンスか──答えは、地域と私たちの姿勢にかかっています。

<出典・参考>
• 総務省統計局「人口推計(2023年10月1日現在)」
• 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2023年版)」
• 総務省「通信利用動向調査(2022年)」
• ふるさと回帰支援センター「移住希望地ランキング2023」
• 総務省「地域おこし協力隊 活動実績(2023年度)」
• 富山市「コンパクトシティ戦略」
• 内閣府「幸福度指標に関する検討会」資料

【投稿者】

妹尾 暁​

妹尾 暁​

みらい株式会社 代表取締役

一般社団法人Smart Citizen Hub代表理事, 熊本県チーフ・デジタル・オフィサー(CDO), 天草市DX推進アドバイザー, 熊本保健科学大学経営アドバイザー

専門分野は、DX(デジタルトランスフォーメーション)、BPR(業務改革)、AI・IoT、経営戦略、事業企画、新規事業開発、教育・人材育成、プロジェクトマネジメント、マーケティング、組織設計など多岐にわたる。 最近の趣味は、メダカの飼育と旧車いじり。